蟻の1日

 

雨、のち晴れ。10度。

8時に起きる。

朝餉は、きんぴら、卯の花、大根の煮物、即席のポテトスープ、ピザトースト、りんご。食後にコーヒー。

『Better Call Saul』のシリーズ5を少しずつ見ている。

独特のテンポと微細な描写。まさに映像表現の宝庫だ。エピソード2のエンディングからエピソード3のオープニングへ続くシーンの小道具は、主人公が舐めていたチョコミントのアイスクリーム。そのアイスクリームが、3のエンディングでも登場する。

その変容が物語っているのは、同じ場所にたまたま戻ってきた主人公が体験してきた時間の象徴である。

僕らも、そのアイスクリームを見て、いかに遠くへ連れ去られていたのか、あらためて思い知る。日々の些事が、人生の舵を大きく切っているのかもしれないと。

このドラマが懲りずに、緻密に描いているのは、そうした日々の些事の簡便さのようなものだ。簡便さの裏には、限りない複雑性が潜んでいる。その複雑性を、このドラマはくどいくらい丁寧に、それでいて秘匿すべきは決して詳らかにはせず描く。

映像が得意とするのは、まだ見ぬ世界を描くことと同じくらい、日々の克明性をなぞることなのだと教えてくれる。

物語の奥行きと周縁の広がりにおいて、『Breaking Bad』を超えていると思うのは僕だけではあるまい。

遅い昼餉は、女房が作ったぼた餅。餅米を炊いて、小豆を煮た。

女房にチョコレートのお返しを。キャラメル味のチョコと苺のムースのマシュマロ。

作ったぼた餅を携えて、女房は長浜の叔母のところへ。

叔父の認知症はこの一年で急に進んでおり、投薬検査の入院がもう2か月になるという。週5日、デイサービスに行っていても、叔母や子どもたちの負担はそれなりに重かったと思う。

叔母が作ったキャベツをもらって、女房は夜に戻った。

夕餉は、ぼた餅を残り物を平らげて。

 

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