南部の狂気

みぞれのち晴れ。5度。
9時に起きる。
朝餉は、カレーの残り、トースト、白湯。
映画『スリー・ビルボード(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)』。監督のマーティン・マクドナーはこれが本格的な映画になるのかもしれない。脚本も彼だ。ウディ・ハレルソンが期待にたがわずいい味を出している。誠実な南部男のちょっとした狂気と堕落がにじみ出ている。それに言わずもがなのフランシス・マクドーマンドが主演だ。この世の絶望を一身に背負った顔や風情、それに目。彼女は、この演技でアカデミー主演女優を取っている。
昼餉は、カレーと食パン、白湯。
いくつかの印象的なシーンがある。道沿いの朽ちかけた大きな看板に見入る冒頭のマクドーマンドの顔と指。彼女はとても長い物語をそこで演じてみせる。時間にして3、4秒だというのに。
ハレルソンが妻や娘たちと休日を送るシーン。夜になって厩舎へ行き、馬たちの様子を見て、それから黒い袋を頭から被る。シンプルで迷いのない動き。そして彼のモノローグが流れる。ちょうど映画の真ん中あたりで、それはごくごく自然に起きる。忘れ得ぬ光景だ。
夕餉は、天ぷらそば、カレーの残りと白湯。