異形の鋳型

 

雨のち晴れ。19度。

6時に起きる。

朝餉は、大根とジャガイモの煮物、キャベツ・パプリカのサラダ、ソーセージと目玉焼き、味噌汁(大根・人参・玉葱・エノキ・油揚げ)、トースト、豆乳、ローズヒップティ。

本を求める。Shaun Tan著『The Arrival』(Arthur A. Levine Books刊)。

ショーン・タンの鉛筆画はこの世のものとも思えない。この世のことを描いているのに、この世は描かれていない。彼の両親がオーストラリアに入植したときも、世界はこんな風に見えていたのだろう。何本の鉛筆を使って、タンはこの文字なき物語を描いたのか。

膨大な線描に、言葉を失う。タンが文字を使わなかったおかげで、新天地の孤絶が絵に宿ることになった。

美容院へ。初めての店。カットしてもらっていると、食道のあたりが焼けつくように痛む。札幌からずっと胸焼けのような症状が収まらない。

昼餉は、歌舞伎揚げ。

この世のものとも思えない、と簡単に書けるのは、それが文字だからだ。絵ではそういうわけにいかない。この世のものでないものを描く力は、どこから湧いてくるのだろう。見たことのないものに、なぜ郷愁のような感興が湧き上がるのだろう。タンの絵を見ながら、それをありありと感じる。

鋳型は異形でも、そこに流し込む感情の素材は不変らしい。物語を作ることは、そういうことらしい。

夕餉は、ベーコンと大根の葉のアーリオオーリオ・ペペロンチーノ。

 

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