吐露は、ときに芳し

 

曇り、ときどき日差し、夕立。30度。

7時に起きる。

朝餉は、バナナとヨーグルト、レタスと玉葱・コーン・パプリカ・トマトのサラダ、ハムとスクランブルエッグ、味噌汁(人参、玉葱、ナス、油揚げ、エノキ)、ソースト、麦茶、ミルク。食後にアイスコーヒー。

本を求める。ルイス・キャロル著、高山宏訳・佐々木マキ絵『不思議の国のアリス』(亜紀書房)。原著からもっとも遠くにあるアリス本だと思われがちだが、そう言い切れるだろうか。帯には、日本語版「アリス」の金字塔、と書かれているが、そういうことなのだろうか。

堪能したいなら懐深い原著に勝るものなし、と思い込まされる、そんな労作。高山さんの訳者あとがきが、仕事の苦しさと喜びを語って読ませる。

昼餉は、抜き。

5キロをジョグ。真っ黒な雷雲に追いかけられる。いと怖し。

 

訳者あとがきより――

 

(前略)

 しかしものすごい量の注も訳さねばなりません。御想像がつくと思いますが、キャロルの英語をやっと日本語にしたところで、横にくっついたガードナーさんの注とうまくつながらないといけないということがわかって、訳をそのように変えなくていけないので、うまくいくのはほとんど奇跡なのですが、苦労は並大抵ではありませでした。

(中略)

 だから、隣に一段と小さい活字で注のついていないアリス物語を訳せる日がくることが長いあいだの夢でした。

 みなさんが手にとっておられるこの『不思議の国のアリス』がその夢かなった本なのです。何にも余計に縛られることもなく、思いのまま自由に遊ぶことを楽しみ抜いた訳です。訳者のそういう楽しく遊んで仕事している感じがみなさんに伝わるなら、いちばんの幸せです。でもとても面白いことですが、できるだけ忘れようと心がけた前の注釈本での訳がやはり頭に浮かんでくるのです。それだけ苦しみ、本当に神さまの助けで見事に突破していった苦心の訳をそう簡単に忘れられるものではありません。時間と(音楽の)拍子の両方の意味に掛かった、おまけに人物の名前でもあるらしい“time”を「マ(間)」と訳せばすべて解決とわかったときの天にものぼる心地、わかりますか。いちばんの難所の第七章は結局この「マ」をうまく使うかどうかにかかっており、それ以外の案は多分どれも「間抜け」、文字通りマが抜けた訳なのです。それで調子の出た第七章はティーパーティーの場面ということで日本語の「無茶」、「茶」が「無」という言い方が、おまけのダジャレということでものすごく生きたりしました。

(後略)

 

夕餉は、冷奴、唐揚げ、夏野菜のラタトゥイユ、味噌汁(人参、玉葱、ズッキーニ、豆腐、エノキ)、ご飯、麦茶。食後にアイスコーヒー、クッキー。

 

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