イノセント?

 

晴れのち曇り。26度。

7時に起きる。

朝餉は、リンゴ、味噌汁(人参、玉ねぎ、小松菜、煮干し、豆腐)、ピザトースト。食後にコーヒーと赤福。

女房が、終わりかけのツツジの花と格闘している。白い花は鼻をかんだティッシュペーパーみたいだし、赤い花は犬の数日経ったフンみたいだ。

そういう変化も織り込まなければ、ツツジと暮らすとは言えない。それくらいわかっているわよ、と女房の背中が語っている。

昼餉は、ベーコンと玉ねぎ、塩昆布のパスタ。

 

 ラフな作業服を着て、麦藁帽子をかぶり、シャツの襟をはだけたヘルマン・ヘッセの個性的な写真が、八十歳の誕生日から一年後の一九五八年七月上旬に、ニュース雑誌「シュピーゲル」の表紙に掲載された。二十年以上も前に、息子のマルティーンによって撮影された写真である。ヘッセは、丸いニッケルぶちのメガネごしに、優しいと同時に懐疑的な眼差しを読者に向けている。それはまるで、その写真の醒めた表情と、「シュピーゲル」の編集者がその写真の下につけた「庭のあずまやで」というキャプションとのあいだに現れている矛盾を読者が見抜いているかどうか調べているかのようである。

 

フォルカー・ミヒェルスのあとがきは、『庭仕事の楽しみ』の本質を巧みに突いていて、もしかしたら著者の文章より好みかもしれない。ヘッセの目つきには、ドイツ人特有の冷徹さも見え隠れする。著書の表紙も同じ時に撮られたであろうと推察される一様だが、この写真とは別人のようだ。植物に向き合う時には、この眼差しはないのだ。

我が家の女房がヘッセみたいになったらと想像するだけで眠気は吹っ飛ぶが、そこに至るには余命を使い果たしても足りそうにないので、僕はこうしてすっとぼけた文章を書いていられる。

夕餉は、高野豆腐、鳥ひき肉と木綿豆腐のハンバーグ、味噌汁(人参、カボチャ、小松菜、玉ねぎ)、玄米ご飯。食後にコーヒー、マシュマロ。

水彩画を見れば、ヘッセの本質は違うところにあると誰もが気づく。なんとも穏やかなその絵には罪がない。特に好きなのは、1930年に描かれたカーサ・カムッツィの庭の一角を切り取ったもので、眺めていると時を忘れる。

 

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