十三夜

晴れ。
七時に起きる。
義母の朝餉は、ホームからもらってきたペースト料理。どれが、どんな料理なのか色からは判然としない。女房も献立表を見て、当たりを付けてからスプーンを動かす。それに僕の作った味噌汁。食後に、義姉の作った柿の羊羹。
僕らは、バナナときな粉、蜂蜜入りヨーグルト、中華風野菜炒め、味噌汁(大根、人参、玉葱、豆腐、油揚げ、長葱)、トースト、アールグレイ
夜に天井を駆け回っていたのはネズミなの?
いや、もっと大きい奴だったよね、猫とかオコジョみたいな。
そんなのが、天井にいるわけ?
サイズはそれくらいの音だったけど。
確かに大きかった。
そんな話をしていると、義母が苛立ったように机を手で叩いた。ただひとつ動く右手は、それでもアームカバーに覆われている。闇雲に動かすので、皮膚が破けるのだ。手といい腕といい、もの凄い力が入っている。
食後、入り側で日向ぼっこをさせる。意味のわからぬ言葉を発し続けている。入り側の端っこの机でその姿を見ながらキーを叩く。
週末ごとに台風が襲来した十月の総括をば。アクティビティは二十三日。総距離は二百十八キロ。走れなかったわりに距離は伸びた。スクワット二十回と腕立て伏せ二十回を二セット。これから秋晴れが続くといいのだが。義母よ、晴れ女の実力を見せてくれ。
昼餉は、パンを囓る。ホームから取り寄せた義母のランチは鳥の照り焼きとか。
食後、義母はいったんホームへ戻った。本格的な帰宅は今週末あたり。それでも、週に三日は新しいホームで風呂を使い、その流れで泊まることになる。僕らも一息つかせてもらう。
今のグループホームから義母の備品をクルマに積んで戻る道すがら、太った月が山の上にのぼっている。これから欠けるのか、満ちるのか。
夕餉は、常夜鍋の残り、味噌汁の残り、堅焼きうどん。食後にチョコドーナッツと珈琲。
ファジル・サイの演奏でショパンノクターン集を。二十番と二十一番が遺作。朝日の中で聴くというのもなんだかいい。