個の戦い

晴れ。三十六度
六時に起きる。
朝餉は、サニーレタスとキュウリ、トマト、玉葱のサラダ、ハムとスクランブルエッグ、みそ汁(人参、小松菜、豆腐、ジャガイモ、玉葱)、トースト、黒酢と蜂蜜、レモンのジュース、杜仲茶
出社して仕事を。汗だく。
NoiseMakerのショートパンツが届く。生地に東レのブリザテックを使っていて、通勤や八、九月の水仕事には良さそう。
昼餉は、女房が作ってくれたオクラと長芋のざる蕎麦とひやむぎ。美味。
iTunes StoreAmazonで、ストリーミングで観る西部劇の名作が五百円で購入できるキャンペーンをやっている(レンタルなら百円だ)。セルジオ・レオーネ監督の『Once Upon A Time In The West』とジョージ・ロイ・ヒル監督の『明日に向かって撃て』を手元に置いておきたいところだが。
僕が唯一持っているストリーミングは1968年に公開されたピーター・イェーツ監督の『Bullitt』だ。これを89回くらい観ている。主演のスティーブ・マックイーンは台詞の少ない俳優だが、この映画ではさらに少ない。サンフランシスコの坂道をフォード・マスタングGT390を駆るシーンは素晴らしい。エレガントなクルマ、ノスタルジックな街、そして物静かな男。ジャクリーン・ビセットがポルシェのカブリオレを運転するシーンのバックに流れるラロ・シフリンのテーマ曲。六十年代が横溢している。
後年、仕事で何度もサンフランシスコに行ったが、そのたび深い溜息をついたものだ。海の見えるレストランでロブスターを食べながら、金門橋の渡口のカフェで寒さに震えつつコーヒーを飲みながら、提携を申し出ていた会社の窓の先に広がる港湾を見渡しながら、ユニオンスクエアの本屋で天井の本を見上げながら、僕はこの街にいる幸福をなんども味わった。
サンフランシスコとボストンは、優劣つけがたい東西の海古都ではある。
寡作のイェーツ監督だが、『Bullitt』と双璧をなすとしたら『Murphy's War』(邦題:マーフィの戦い)を推したい。主演のピーター・オトゥールは『アラビアのロレンス』よりこちらがいい。戦争を極小の戦いに落とし込んだとき、個々の模様を描くのにイギリス人ほどツボにはまる国民はないと僕ははじめて悟った映画だ。’57年のデヴィット・リーン監督の『戦場にかける橋』がまさに端緒を開いたのだと思うが、ミクロ的な視点で競うと拡大率はまだ低いのだ。
午後も仕事。
夕餉は、女房の作ったラタトゥイユ、長芋とオクラの炒め物、みそ汁(人参、玉葱、豆腐、ワカメ)、玄米ご飯、赤ワイン、黒酢と蜂蜜、レモンのジュース。食後にチョコレートパイ。